読書記録~防忘録~

読書記録です。時々、漫画やアニメにも独り言してます。

イトウの恋 中島京子著 講談社 2005年

櫂林学園中等部の社会科教師・久保耕平は、実家の屋根裏に古い手記を見つける。それは明治時代に通訳ガイドとして活躍した伊藤亀吉が、自身が日本を案内したイギリス女性民俗学者イザベラ・バードとの旅を書き記したものだった。中途半端な所で切れてしまっている手記の続きが知りたくて、耕平は伊藤の子孫・田中シゲル(女性)を探し出す。…
イトウとイザベル(手記中ではI・Bと書かれる)の3ヶ月もの旅行記と、現代の耕平とシゲルとのやりとりが平行して書かれる構成になっているんですが、この落差が面白い。明治期の手記の方が品よく格調高く進むのに、平成の2人がなんともちぐはぐででこぼこで、人物造形もどことなくいじわるで、何か笑えます。梨木香歩森絵都が同居してる感じ(笑)。田中シゲルがそんなに教養高くない、という設定の割に耕平と初めて会った時に思い起こしたのが「ようよう広くなりゆく生えぎわ、少し明かりて」って古文のパロディの一節だったり、お釈迦様の誕生話に妙に詳しかったり(『ビースト海峡』のための資料で読んだのか?・笑)ちょっとそれはこの人のエピソードとしてどうよ、人物設定甘くないか、とも思ったけれど、この明るさがなかったら現代の方の魅力は半減かもしれない。私としては過去の2人の話の方が面白かったけど、まぁ何しろドラマチックでしたから。後々伊藤亀吉のお嫁さんになった人ってどんな人だったんだろう。夫の心が自分に無いことをどう思ってたんだろう。昔の人だから、「こんなものだ」って穏やかに受け止めてたのかな。…えらいなぁ。